MISSION 元スターバックスCEOが教える働く理由 岩田松雄 著
大まかではあるが、二点に絞って本書から得られたことを僕なりにまとめてみる。
1.従業員にまで浸透したミッション
”人々の心を豊かで活力あるものにするためにー
一人のお客様、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから”
このミッションステートメントがアルバイトひとりひとりまで浸透してるのがスターバックスである。
そして、スタバという企業はコーヒービジネスではなく、「ピープルビジネス」であると言うこと。
つまり、人々の心を豊かにするためにたまたまコーヒーを通じてやってるだけであって、紅茶でも、ピザでも、おにぎりでもよかったと言うこと。
実際、お金をかければいいデザイナーは雇えるし、高級な豆と高価な機械を使えば誰でも作れる。しかし、一朝一夕にできないのが心のこもった接客である。
70時間にも及ぶ研修を通して「何をしなさい」ではなく「なぜそれをやるのか考えなさい」と言う教育をしている。
だからこそ、「“いらっしゃいませ”ではなく“こんにちは”と言おう」という声かけに変えた時も、それはマニュアルとしてそういう文言に変えたことに意味があるのではなく、その本質は、お客さんとの親近感を感じさせるためなので、「今日は寒いですね」でも「お仕事お疲れ様です」でもいい。つまり“なぜするのか”という思考を繰り返すことで応用が効くようになってくる。
また、社員として利益ばかり追求していては決してできないような行動(マニュアルに載ってない行動で、店員が個人で判断して起こした行動)も会社が認めてくれており、スターバックスの社員である前に人間として正しい判断ができるようになってほしいというトップの考え方からもわかるように、人間教育を重要視している企業であることがうかがえる。
そういう社員が育つ環境を用意している企業であるということ。
そしてそういう社員がいるお店に人は集まるということが、「ピープルビジネス」という言葉の意味ではないかと感じた。
2.自分の人生に対するミッションを持つこと
それは決して肩書きや経歴では見えない、人間性に現れる。
今所属している会社のミッションを意識して働くと同時に、自分自身のミッションは何なのか?を自問せよ。
つまり、どこの会社で働こうとも変わらないミッションを持つことで自分が主体の人生に変わるということ。
そして、それを自分の言葉で周りに納得してもらえるように伝えることで仲間が増え、次第に社会に価値を提供していくことができる。
また、ミッションは軌道修正していってもいい。それは自分に新しい知見が得られ、新しい考え方ができるようになった証拠だから。
注意すべきは、働き方を考えることではないということ。会社員なのか、経営者なのか、公務員なのか、ノマドワーカーなのかは働く意義を考える上での本質ではない。