れんこんのあなのなか

1998年生まれの男の頭のなか

「社会貢献」という言葉の再定義

中学生くらいであろうか、社会貢献という言葉を使えるようになったのは。

 

当時は社会貢献とは、お金儲けを考えず世のため人のために無償で何かをすることだと考えていた。

 

しかしその言葉の意味はそうではないことに次第に気づくようになってきた。

 

社会での経験も少ない私ではあるが、「社会貢献」の意味がより本質的にわかるようになってきたと思うのでここで改めて言葉にして再定義してみたいと思う。

 

 

社会貢献とは、

「なんらかの技術・知識を使って、社会問題を解決する、または状況を改善させること。」

 

 

 

このうち、前段の「なんらかの技術・知識」とは、例えば医療分野、土木分野、農業分野など専門となるものであり、いわば縦糸である。

 

後段、「社会問題を解決する、または状況を改善させる」ためには、専門知識の他に、そもそも問題は何なのかを探究する力や人にうまく役割を与えてチームをうまく回す力など、”ビジネススキル”と言われるようなスキルも求められる。

これは分野を問わずに使えるという意味で横糸になるだろう。

 

この縦と横の両方があって初めて問題が解決されると私は思うのだ。

 

だから、ビジネススキルと言われるような理論や方法論だけ知っていても直接問題は解決できないし、専門性だけあっても問題解決という意識がないと受け身になってしまうと思うのだ。

 

例えば、岐阜県と長野県の境には山脈があって、岐阜と長野は隣県であるにも関わらず両県間のアクセスは非常に悪い。

そこで、もし飛騨山脈を横断するトンネルをつくれば、県境を簡単に行き来できるようになるため、そのような計画を立てる場合を考えてみたい。

 

すると必要になってくるのは、いかにしてトンネルを掘るかという、土木技術だろう。

 

しかしそれだけではトンネルは掘れない。

 

そもそもそこにトンネルを掘る価値はあるのか、需要があるのかを考えないことには計画も何もない。

そこには、市場調査や統計のスキルが必要になる。

 

実際にはもっと複数分野の専門家たちでプロジェクトが運営されるのだろうが、要は、トンネルを通すために必要なのは、トンネルを掘る技術だけではないという事が言いたいのだ。

 

どれだけ安全に早くトンネルを掘れる技術があっても、需要のないところに掘られたトンネルに価値はない。

 

社会になんらかの価値を提供してこそ社会貢献である。

 

そして、一般的に、社会に価値を提供しているのは多くの会社・企業であるため、それらの価値を生み出すために必要な能力を一般的に”ビジネススキル”とよんでいるのだ。

 

ただ、会社勤めでない学生や公務員にも同じようなスキルは求められるはずだ。

 

だからあえて”ビジネススキル”には””をつけている。

 

私は、”ビジネススキル”の本質は「課題解決」にあると思うので、課題解決スキルと呼んでもいい。

 

”ビジネススキル”の本質がもしお金儲けにあるのだとすれば、金をいかに稼ぐかにフォーカスすべきだが、そこが本質ではないとは思う。

 

お金が儲かるのは結果論だと思う。

 

どこの経済学部でも経営学部でも、お金を儲ける方法は教えていないはずだ。

 

お金が儲かるその仕組みは教えていても、お金の稼ぎ方は教えていない。

 

お金というものは、需要と供給のバランスの結果、需要のあるものに人がお金を使ってくれるため、その見返りとしていただけるものである。

 

 

 

最後に、

「お金を儲けるためには、お金をどう儲けるかは考えてはいけない」というある本での一節を思い出した。

お金儲けとは結果論であることと、お金儲けだけを考えるとつい短絡的で非常に危うい発想になるということなのだ。

 

先の例で言えば、もしお金儲けのためにトンネルを作るとすれば、突貫工事をすることになり非常に危険なトンネルが出来上がるだろう。

そんなトンネルは社会になんの貢献もしないのだ。

 

ただ自分の利益のためのものだから。

 

そんなわけで、

社会貢献とは、問題解決能力+専門能力が必要で、お金に関してはその結果としていただけるものである、とまとめさせていただこう。

 

一応追記しておくが、

需要があるかないかをしっかり分析しておくことはお金が儲かるかどうかを調べることにほかならないので、いわばお金のことまでしっかり考えることになるのだが、それは、お金が儲からないと社会貢献は成り立たないという逆説的事実でもある。

 

循環し、持続可能な社会にはお金の循環も欠かせない。

 

目先の自分の利益ばかり考える者は社会に貢献もできなければお金も儲けられないという皮肉である。